【マーケティング×AI活用】経営者が知るべき「釣り道具より釣り方」の発想~AI活用が広がる今、なぜ成果を出す企業と出せない企業に差が生まれるのか~【第4回】

AI時代に経営者が磨くべき3つの力
前章では、AI時代に本当に重要なのは「釣り道具」ではなく「釣り方」であり、その差を生み出すのは人間の力であることをお話ししました。
では、これからの経営者は具体的にどのような力を磨けばよいのでしょうか。
私は、42年間のサントリー人生と、その後のコンサルティング経験を通じて、特に重要なのは次の3つだと考えています。
それは、
- 顧客インサイトを発見する力
- 感情をキャッチする力
- 新しい価値を生み出す「ひらめき力」
です。
AI時代だからこそ、これらの人間らしい力が競争優位につながるのです。
① 顧客インサイトを発見する力
マーケティングというと、多くの人は「顧客ニーズを把握すること」だと思っています。
もちろんそれも大切です。
しかし、本当に人を動かすのは、顧客自身も気づいていない隠れた本音です。
私はこれを「インサイト」と呼んでいます。
インサイト発見術とは、顧客の欲求や心理、感情を深く探るマーケティング調査手法です。
長く愛されるブランドには、必ず人の心を動かすインサイトがあります。
表面的なニーズだけを追いかけていては、競合との差別化は難しくなります。
重要なのは、
「なぜ、その人はそう思うのか」
「本人も気づいていない本音は何か」
を探ることです。
AIはデータを整理することは得意ですが、人間の感情の奥にある微妙なニュアンスを感じ取ることは、まだ人間の大切な役割だと思っています。
② 感情をキャッチする力
私は、これからの時代に求められる人を「感情キャッチ型人間」と呼んでいます。
人は論理だけで動くわけではありません。
「なんとなく好き」
「共感できる」
「応援したくなる」
そんな感情が購買行動やブランド選択を左右しています。
だからこそ、経営者には数字やデータだけではなく、人の感情に寄り添う姿勢が必要です。
社員の気持ち。
お客様の気持ち。
取引先の思い。
そして、自分自身の感情。
こうした感情を敏感に感じ取れる人ほど、新しい価値を生み出すことができます。
私はこれを「感情キャッチ型マーケティング」と呼び、マーケティングの核心だと考えています。
AI時代だからこそ、人間らしい温かさや共感力がますます重要になるのではないでしょうか。
③ 新しい価値を生み出す「ひらめき力」
そして三つ目が、「ひらめき力」です。
私は、ユニークな商品企画やブランドづくりに必要なのは、理論やセオリーだけではないと考えています。
むしろ、その枠を超える発想こそが、人を感動させる新しい価値を生み出します。
その源泉になるのが「ひらめき力」です。
サントリー美術館で7年間勤務し、300以上の展覧会に触れる中で、私はアート思考の重要性を学びました。
アート思考の特徴は、
「自分はどうしたいのか」
という感情を起点に考えることです。
自分自身のインサイトを見つめ直し、顧客のインサイトと重ね合わせることで、その人ならではのアイデアが生まれます。
AIは過去の知識を整理することは得意ですが、まだ「夢」や「感動」から新しい価値を創り出すことはできません。
だからこそ、ひらめき力こそが、AI時代における人間最大の競争優位になるのです。
AIの進化によって、人間の価値が小さくなると思われがちです。
しかし私は、むしろ逆だと感じています。
次の章では、サントリー時代の経験を振り返りながら、「釣り方」の重要性を実感した具体的なエピソードについてお話ししたいと思います。

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