【マーケティング×AI活用】経営者が知るべき「釣り道具より釣り方」の発想~AI活用が広がる今、なぜ成果を出す企業と出せない企業に差が生まれるのか~【第5回】

目次

サントリー時代に学んだ「釣り方」の重要性

前章では、AI時代に求められる人間の力として、

  • 顧客インサイトを発見する力
  • 感情をキャッチする力
  • ひらめき力

の3つについてお話ししました。

では、なぜ私は「釣り道具より釣り方が重要である」と考えるようになったのでしょうか。

その原点は、サントリーで42年間仕事をし、16年間ブランドマネージャーとして35ブランドに携わった経験にあります。

成功もありましたが、それ以上に多くの失敗から学ぶことができました。

そして、その経験を通じて確信したのは、長く愛されるブランドは技術や機能だけでは生まれないということでした。

C.C.レモン開発で見えた顧客インサイト

私が担当したブランドのひとつに、C.C.レモンがあります。

発売当時、炭酸飲料市場ではコカ・コーラや三ツ矢サイダーなどの強力な競合が存在していました。

その中で単純に「炭酸が強い」「おいしい」といった機能だけで勝負しても、後発ブランドが勝つことは簡単ではありません。

そこで着目したのが、

「炭酸飲料を飲みたい。でも健康も気になる」

という若い世代の気持ちでした。

当時炭酸飲料は、どこか健康に良くないのでは?という暗黙の了解のようなものがあったのです。

そこで、

  • レモン50個分のビタミンC
  • 微炭酸による爽快感
  • 黄色を基調とした親しみやすいデザイン

などを組み合わせ、

「街の健康炭酸」

という独自のコンセプトを打ち出しました。

重要だったのは、商品スペックではありません。

「健康を気にしながらも、気軽に炭酸を楽しみたい」

という顧客の隠れた本音を見つけることでした。

私は、このような本人も気づいていない気持ちこそが、マーケティングの出発点だと考えています。

ブランドは技術ではなくコンセプトで決まる

若い頃、私は缶コーヒーブランド「WEST」を担当しました。

ところが、ブランド開発に関わる人たちの間で、

「アメリカ西海岸の都会的なイメージ」

と考える人もいれば、

「アメリカ大西部のカウボーイの世界」

と考える人もおり、ブランドの方向性が統一されていませんでした。

結果として、このブランドは大きな成功には至りませんでした。

私はこの経験から、

「ブランドに関わる人たちが同じコンセプトを共有すること」

の重要性を学びました。

その後、サントリーでは数多くのロングセラーブランドが生まれました。

その共通点は、優れた技術そのものではなく、

「誰に、どんな価値を届けるのか」

というコンセプトとターゲットが明確だったことです。

釣り竿が優れているかどうかではなく、

「どんな魚を釣るのか」「どのように釣るのか」

を決めることが重要なのです。

長く愛されるブランドは人間理解から生まれる

私はマーケティング部門で16年間、天然水、C.C.レモン、胡麻麦茶、黒丸など35ブランドを担当してきました。

その経験を通じて感じるのは、

「人は論理だけでは動かない」

ということです。

人は、

「なんとなく好き」

「共感できる」

「応援したくなる」

という感情によってブランドを選びます。

だからこそ、マーケティングの本質は、人間を理解することにあります。

データ分析やAIの活用はもちろん大切です。

しかし、最後に人の心を動かすのは、人間への深い理解です。

私はこれまでの経験を通じて、

「マーケティングこそ経営の核心である」

という考えにたどり着きました。

そして、AI時代になった今こそ、その価値はますます高まっているように感じています。

では、その人間理解をさらに深め、新しい価値を生み出すためには何が必要なのでしょうか。

次の章では、私が提唱している「感情キャッチ型マーケティング」が、なぜAI時代に必要になるのかについてお話ししたいと思います。

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この記事を書いた人

サントリーで42年間、C.C .レモン・サントリー天然水など
35ブランドのマーケティングを担当。
現在はインプレスビジョン株式会社代表として、
感情キャッチ型マーケティング~独自のインサイト調査・アート思考~で
次世代経営者の事業成長を支援しています。

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